BSIET、NSEC、BE3共同で設計、建設するFTKプロジェクト「済鋼150t/hCDQ装置及びその高温高圧発電系統」は、2007年5月30日に、FATに合格した。これは国内で初めて高温高圧自然循環ボイラーを採用するプロジェクトで、ボイラー蒸発量･コークス処理能力･冷却コークス温度などの指標は契約に規定される設計保証値に完全に達成し、CDQ用の高温高圧自然循環ボイラーの信頼性と先進性は証明された。本プロジェクトの成功はBSIET、NSEC、BE3が請負うCDQの技術先進性、生産安定性、環境･省エネの高効率性を体現するだけでなく、済鋼リーダーが新しいものを挑戦する考え、科学的な発展方法を堅持し、新技術の応用を積極的に促進し、「循環経済」の理念と持続可能の発展戦略を徹底的に実行する決意を体現する。
2006年10月25日9時58分、済鋼CDQ-FTKプロジェクトは正式に立ち上げ、赤熱コークスを投入した。済南鋼鉄集団とBSIET、NSEC、BE3が2005年5月11日にFTK契約を締結する日から立上げまで、17ヶ月14日間かかり、契約工期と比べて17日間繰上げた。済鋼リーダーと各部門はCDQプロジェクトの設計･管理･建設に高い評価を与えた。タービンの据付はわずか45日間しかかからなかった。2006年12月20日16時18分にCDQ発電所は立上げ、一回で電力系統との連結を成功させた。目下、CDQで消火する比率は100%に達した。当プロジェクトに関して、第十五冶金建設有限公司はCDQ本体の据付を、江蘇華能建設工程集団有限公司はボイラーとタービンの据付を、武鋼自動化公司はCDQ-EI系統の完成とプログラム編成を担当した。また、高温高圧自然循環ボイラーに関して、BE3は設計、杭州ボイラー集団有限公司は製造を担当した。25MW高温高圧タービンは杭州中能タービン動力有限公司にて設計･製造した。当該プロジェクトの竣工はBE3がCDQ事業において新たな勝利を得ることを示していると共に、CDQ用高温高圧自然循環ボイラーを国内コークス業界で普及させる道が開かれることも示している。
済鋼は宝鋼と浦東ガス工場に続いて、1998年に70t/hCDQを2基立上げ、国内において最初にCDQ装置を導入する製鉄所である。当時、投資額などの要素を考慮したので、済鋼は旧ソ連(現在のウクライナ)の技術を導入した。済鋼のCDQは旧式で当時の宝鋼CDQに遅れている上に、建設途中にちょうど旧ソ連の崩壊に当たり、技術支援が不十分であった。また、済鋼はCDQ技術のポイントと制御を身につけなかったので、CDQ立上げ後、事故･故障が頻繁で、技術指標に達成できず、モデルプロジェクトになれなかった。日本政府の援助プロジェクトとして、首鋼コークス工場1号コークス炉向けCDQは2001年に立ち上げた後、本プロジェクトに採用するNSECの新技術は効果が現れることによって、省エネ･経済的メリット･環境メリットなどの多方面において、当時中国国内の稼動中CDQよりいい結果が得られた。また、既存コークス炉基礎の上に増築したため、CDQ配置は難しかったけれど、結局満足できる効果が得られ、特に製鉄に与えたメリットが認められた。故に、首鋼プロジェクトの立上げとその高い稼働率は、中国CDQの普及に大きな役割を果たした。
済鋼150t/hCDQは首鋼CDQより更に先進的なものであった。CDQ大型化のほかに、NSECが数十年の研究を通して開発した真の自主的な知識財産権を持つ先進的な技術を採用した。例えば、
（1） チャンバー（冷却室）はずんぐりした形を採用。
チャンバー（冷却室）高さを下げることによって、チャンバー内の循環ガスが受ける抵抗力は小さくなり、循環ガス量は低下すると共に、設備費や運転コスト及び生産コストも低下した。また、チャンバーが低くなるため、クレーン架構と1DC、2DC架構の高さも低くなり、プロジェクトの投資額も低下した。
（2） ベルの設置
ベルを設置することによって、コークスを均一にチャンバーに装入することができ、装入コークスの形状も平らになった。このことによって、チャンバーにおける循環ガスの流速は均一になり、循環ガスの使用量も少なくなる。
（3） サブエコ
冷却室と循環ブロワーの間にサブエコ（給水予熱器）を設置することによって、チャンバー入口のガス温度は170℃から130℃まで低下され、同じ処理能力の前提で、循環ガス量は少なくなる。
（4） 振動フィーダーとRSVを使用する排出装置
この設備はコンパクトで、メンテナンスも簡単の上に、炉内圧力を安定させることもでき、コークスを均一に落下させることも可能。
（5） 電車にAPSを使用して、巻上げ塔の下におけるバケット位置の調整範囲を±100mm、精度を±10mm制御することができる。
（6） メンブレン水冷壁を採用する余熱ボイラーは、熱交換効率が明確に向上した。。
（7） クレーンはPLC制御を使い、制御効果はよくなる。
（8） チャンバーに静電容レベル計とガンマレベル計を設置しており、レベルの表示は更に正確になる、レベルの調整もさらに便利、確実になる。
（9） 装入装置のホッパー後にコークス回収装置が設置されている。
（10） 旋回バケットを使用することで、バケットに投入するコークスの分布が均一になる一方、バケットの重量は軽くなり、メンテナンスの仕事量も減少した。
（11） コークス粒度の実際状況に基づき、CDQが安定運転できるようにSFとリングダクトの形状を最適に設計した。
（12） 新日鉄の実際経験を元に、チャンバー各位置の操業温度、特徴に応じて、性能の異なる耐火物を採用した。
（13） 1DCは重力沈降の方式を採用した。重力沈降によって、壁はなくなり、架構は緊密になり、メンテナンスも不要。
特に高温高圧自然循環ボイラー技術はNSEC第三代目のCDQ技術であり、ボイラー構造を合理的に設計し、且つ安全･迅速に起動する対策を取ることによって、高温高圧稼動状況に使われる強制循環ポンプの設備費、予備品費用と運転用エネルギーを節約できるほか、システムが簡潔になり、循環ポンプの故障点は減少され、操作･メンテも簡単になる。同じコークス処理量の前提で、高温高圧自然循環ボイラーは、中温中圧ボイラーより12～15%多く発電できる。また、一部分の主要設備は輸入品を採用するほかに、CDQ耐火レンガの使用寿命の短い、レンガの断裂などの問題に対して、山東魯耐がNSECの耐火材調合法で製造した耐火レンガを採用した。その他に、SFに使うモルタルは黒崎から輸入したモルタルを使用した。CDQ-EI系統について、以前のプロジェクトの経験を纏めた上で、他の分野のEI系統を参考して簡略化した。CDQクレーン制御システムのネット化は成功し実行できることによって、クレーンの制御システムとその調整は便利になり、システムの使用も安定した。CDQ操作画面ももっと完備に、美しく、操作しやすくなった。
済鋼CDQ建設中、BE3は「行き届く設計、先進的な･改善しつつある技術、心をこめる工事、科学的な管理、客先を満足させるプロジェクト」を経営の方針とし、客先の立場で考え、客先が満足できるように仕事を展開することを準則とし、契約に規定される工期以内に客先に品質の良いCDQを引渡すことを目標とする。BE3はBSIETとNSECの工程管理方法を吸収し、プロジェクト特徴を結合し、各専門ごとに能力･経験のある、且つ責任感の強い工程管理者を派遣して、建設と管理の仕事をさせる。工事中、各専門の人はお互いに協力し、詳しい設備の到着計画と工事方案を作成することによって、工事進捗状況と工事現場の秩序が整然としている。工程の進度、品質と投資はうまくコントロールできた。ボイラー系統の水圧テストは一回で成功し、CDQガス循環系統の気密テストは十日間以内で完成した。
済鋼150t/hCDQプロジェクトの成功は客先の支援のおかげでもある。済鋼工程管理部は品質と進捗状況を厳しくチェックし、他の関連部門も積極的に協力してくれた。特にありがたいのは済鋼は以前のCDQを通して経験のあり、事故を冷静に処理でき、責任感の強い操作員を鍛えた。済鋼の操作員は工場外の実習、事前にCDQの建設に参与することを通して、CDQ設備を理解したので、新日鉄と北京中日聯公司専門家の指導の下で、すぐ新CDQの操作と故障処理知識を身に付けた。そして、以前の経験を結合して、短時間で全部CDQで消火することを実現した。
世界範囲のエネルギー不足問題の激化と中国がエネルギーに対する需要の増加につれて、国家環境保護法規の改善と工業企業環境改善の需要増加につれて、省エネ･環境保護効果の著しいCDQ技術はコークス生産において不可欠の一環となる。済鋼150t/hCDQは冶金業界の環境保護･省エネに新たなモデルを提供した。
新日鉄エンジニアリング㈱は１９８０年代から中国においてCDQ事業を進めてきており、中国においてBE3はNSECの技術移転を正式に受ける唯一のエンジニアリング会社である。そして、中国客先が環境、省エネに対するニーズを満足させるため、BE3は中国事情をあわせる標準設計、国産化を促進し、品質を確保する前提で、工期の短縮を検討し、且つ実現した。BE3は高品質のCDQ設備を建設すると共に、NSECの石炭調湿設備(CMC)などのコークス関係環境保護･省エネ技術を普及し、且つその導入技術の国産化を進める。また、CO2排出削減メカニズム（CDM）を活用して海外から資金を頂き、客先の投資額を低下させることを試みる。BE3は地球温暖化を緩めるように、循環経済を発展させるように貢献する。
